従来型のリーンスタートアップの限界
2年間、いくつかのwebサービスの立ち上げと試行錯誤を繰り返してきた中で、従来のリーンスタートアップのやり方に限界を感じておりました。
特に問題なのは、
- プロトタイプと言えど、コーディングをしてしまうと数週間~数カ月必要。
- 初期仮説はだいたい間違っているので、最初の段階で多くの時間を失う。
- 開発~仮説検証を何度か繰り返すうちに、膨大な時間を失い。チームの士気が大幅に低下する。
という点です。
デザインシンキングの手法では下記の手順でプロセスが進みます。
(Hear→Create)×n→Delivery
しかし実際のスタートアップ(つまり過去の僕)のプロセスはCreateに重きを置かれすぎて、
(Create→→→→→→→Hear)×n→Delivery
になってしまっていると思います。
デザイン・スプリントの特徴
これらの問題を解決する一つの方法として、デザイン・スプリントは、有効な手段となりうると思います。
デザインスプリントの特徴としては、
- 短期間(通常5日)の深い集中
- コーディングをしない
- 実際の意思決定者がいる
となります。
似ている仕組みとして、アイデアソン、ハッカソンがあります。
この二つを比較します。
アイデアソン・ハッカソンの場合
- アイデア出しとチーム内検証(1日)
- プロトタイピング(2日)
デザイン・スプリントの場合
- アイデア出しとチーム内検証(3日)
- プロトタイピング(1日)
- ユーザーテスト(1日)
アイデアソン・ハッカソンはプロトタイピングに重きを置かれ、実際にモノを作るという事が目的になっています。
デザインスプリントは、アイデア自体に重きを置かれ、ユーザーからのフィードバックを得ることを目的としています。
実際のプロセスについてはこちらのスライドをご覧ください。
デザイン・スプリントの利点は、
短期間でユーザーからのフィードバックを得る事が出来る。
という点に尽きると思います。
短期間で失敗と軌道修正を繰り返すうちに、最適な方向性を見つけ出す事ができる仕組みです。
デザインスプリントの課題
もちろんデザインスプリントにも課題があります。
- 5日間チームを拘束する事が難しい
- スタートアップ以外の企業は特にCEO、社長を拘束する事が困難
- チームが既にユーザーのニーズをある程度知っていないと難しい
デザイン・スプリントはGoogle Ventureが投資先のスタートアップチームを支援する目的で作られました。逆にいえば、それ以外の組織やグループでは用いるのが難しいかもしれません。
既存企業だと、1、2がネックになると思います。これが最大の障壁だと思います。
また、探索段階のチームだと3がネックになる可能性があります。
3について補足しますと、これはデザイン・スプリントのプロセスが、Create→Hearであり、Hear→Createでないためです。つまり一番最初のHearのプロセスを飛ばしています。
既存のチームであれば、既にユーザーと接触しているため、ユーザーのニーズをある程度は知っており、仮説を立てる事が出来ます。しかし、ユーザーのニーズ把握が十分でないチームだと、最初のユーザー接触がDay5となってしまい、4日間が無駄となってしまします。その場合は、デザイン・スプリントの前に、1日間ユーザーへのヒアリングや観察などを当てることで、円滑に進むかもしれません。