祖母の足の骨折と新しい車いすの開発

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祖母の骨折

今日母から連絡があり、近くに住んでいる祖母が救急車で運ばれ緊急入院した。

食事の宅配サービスの方が2回インターフォンを鳴らしても出なかったので、母に連絡が行った。母がすぐにタクシーで駆けつけて部屋に入ってみると、祖母はトイレで動けなくなっていた。聞けば昨日の夜からトイレで動けなかったのだという。

大腿骨と腰の付け根の部分の骨折。祖母は齢80を超えており、手術できるかどうか検討するということになったそうだ。

ご存知の方も多いと思うが、高齢者の骨折ななかなか治らない。今回の骨折をきっかけに車いす生活となり、急速に足腰が弱っていくかもしれない。うまく手術できて、リハビリをがんばって復調してもらいたいが、とても心配になった一日だった。

車いすの開発

一方で1か月半ほど前から、僕は車いすのリサーチをしていた。スポーツウエアのデザイナーであった自分自身の原点に一度立ち戻るため、取り組み始めた領域だった。

現状の自走用車いすは、上半身が健康な障害者を念頭に作られた形状をしている。屋外で車いすを自走させるには十分な上半身の筋肉が必要になる。しかし、高齢者は上半身も弱っている場合が多く、現状の自走用車いすを安全に操縦できない。そうなると高齢者は介助者に車いすを押してもらうことに完全に頼ってしまう生活となる。体を動かさないことによって、ますます体が弱っていく負のスパイラルに陥る。

高齢者でも過度の負担にならずに自分の力だけで操作できる車いすを作る必要があると考えていた。車いすに乗ることで衰えていくのではなく、、車いすに乗ることで、知らず知らずのうちにリハビリにもなるような物が必要とされているのではないかと仮説を立てていた。

リサーチとデザインなどを繰り返していた矢先に、今回の祖母の骨折の連絡があった。まさか、こんな形で運命が交差するとは思ってもみなかった。自分が考えていたものが実の祖母のリハビリの役に立つかもしれない。祖母のためにも何としても実現させたい。右足の付け根を骨折しているらしい。車いすに乗ったとしても、左足の筋肉を使って自由に動かせるようにしてあげたい。

開発しようとしている車いす

リハビリを目的の一つにしているので、最近はやりの電動式のものでは当然ない。電動アシストでもなく、自分自身の力だけで動くものにしたい。高齢者の筋肉は衰えていると言っても、障害者の麻痺などとは違い、まだまだ動く。体全体の筋肉や搭乗者の体重などを効率よく使えば、大丈夫だろう。

僕が電動のものを避けているもう一つの理由は重量だ。重さはあらゆる自由を奪う。重量が増えれば増えるほど、介助者への依存度が高まる。乗り換え、自動車への積み込み、そしてバッテリーが切れたとき。

車いすの椅子の部分は搭乗者の人体の形状に合わせてカスタマイズされていることが多い。全ての人に対応する車いす本体を作る事は大変な事だ。なので、僕が作ろうとしているものはアタッチメントパーツだ。簡単に取り付けることができて、小さくて、軽いもの。使わないときには、外しておけばよい。

さあ、早くプロトタイプを作らなければ・・・。

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Entrepreneur, Designer 本部 剛

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