最近、シェアという言葉が氾濫しています。例えばfacebookのシェアもairbnbのシェアもクラウドファンディングのシェアも「シェア」と表現されています。何でもかんでもシェアなので、少々混乱している状況だと思います。
シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略<共有>からビジネスを生みだす新戦略
でも、多様なシェアが分類されずに、羅列されていた感があります。
そこで僕なりに「シェア」を6つのタイプに分類しました。
1:共同所有シェア(Common Ownership Share)
2:中古品シェア(Used Share)
3:コピーシェア(Copy Share)
4:レンタルシェア(Rent Share)
5:相乗りシェア(Ride Together Share)
6:人シェア(Human Share)
1:共同所有シェア(Common Ownership Share)
- Mosaic(屋上ソーラーパネル投資)
- 株式投型クラウド・ファンディング
共同所有シェアは、一つの物を複数の人間で共同で所有するというシンプルなシェアの方法です。
原始の共同体においては所有の概念そのものが存在しなかったので、このタイプのシェアの社会であったと言えます。近代になり、個人の所有権が常識となってからは、株式やマンションと言った比較的高額の物を対象にシェアが広がりました。
共同で何かを所有する場合には、それぞれに所有者同士の利害の調整が難しくなります。そのためしっかりとした法律の整備、契約の取り交わしが必須となります。これらのコストが高くなるため、高額の物でなければ普及しない特徴があります。
ちなみに、低~中価格の物では、一見共同所有の形に見えても実態としてはオーナーが一人でそれを貸し出しているという疑似共同所有のケースがあります。
- マリオットホテルのオーナーシップ・プログラム
- カーシェアリング
- ゴルフ会員権
これらの疑似共同所有は、実態としては他のタイプに属します。
2:中古品シェア(Used Share)
- amazon
- ebay
- craigs list
- メルカリ
中古品シェアは自分が持っている不要な物を、他の人に有償・無償で譲る方法です。
webの普及の恩恵を受けてこの数十年で爆発的に拡大しました。中古品シェアは、譲る相手を見つけることがコストになります。webが存在しなかった時には、相手を見つけるコストが非常に高く、車などの一部の市場しか顕在化していませんでした。現在では数百円、あるいは無料のものまでwebを通して相手を簡単に見つけることができます。
中古品シェアの特徴としては、所有権が移転しますので、一度譲るとその商品の取り扱いが終わります。B to Cの場合は中古品の仕入れを安定的に行う事が大きなコストとなります。C to Cの場合は、譲る商品が発生する事が少なく、譲り手として頻繁に取引を行う事が難しくなります。
3:コピーシェア(Copy Share)
- facebook share
- Winny
- You Tube
- amazon kindle
- itunes
コピーシェアは、複製しシェアする方法です。主に情報がシェアされます。
情報は複製コストがゼロの事が多く、これを利用する事でコンテンツを無限に広げる事ができます。古くは違法な著作権物のコピーに始まり、近年ではfacebookなどのSNSのシェア機能、電子書籍などがこのタイプになります。
コピーシェアは、オーナーが持っている物(情報)を失うことなく、他の人に同じものを渡す事ができます。
コピーシェアで物質→情報への置き換えが起こった場合、市場の破壊的イノベーションが発生します。代表的なのが、音楽業界、書籍業界です。音楽業界ではitunesによって既にCDの売上は激減しています。書籍に関しては電子書籍が徐々に市場シェアを拡大し、旧来の紙ベースの出版社、書店は苦境に立たされています。このような大きな破壊力を有するため、多くの規制や法律、業界の圧力の影響を受けます。
4:レンタルシェア(Rent Share)
- airbnb(部屋貸し)
- Rent The Runway(ファッション)
- Boatbound(ボート)
- Spokefly(自転車)
レンタルシェアは、有償で物を貸すシェアです。
レンタルDVD、レンタカーなど、B to Cを中心に市場が広がってきました。
レンタルシェアは、購入するよりもはるかに安い価格で、高額なものを利用する事が出来ます。最も身近なものを例に出すと、賃貸住宅やホテルなどがあげられるでしょう。近年では、レンタルドレス、レンタルボート、レンタル楽器など様々なニーズに応じたサービスが展開されています。
レンタルシェアの特徴は、一時的にその物品が借り主に占有されます。その間、オーナーの監視から離れるため、破損などの時の保証が大切になります。
また、部屋やボートなど現地で利用する事が決まっているもの以外は、受取、返却と2度の配送コストが発生します。この受取・返却コストをどう最小化させるかがカギになります。
これまではB to Cがメインでありましたが、SpokeflyなどC to Cのプレイヤーも出現しており、また新しい流れが現れそうな気がしています。
5:相乗りシェア(Ride Together Share)
- airbnb(ルームシェア)
- lyft(自動車相乗り)
- uber(自動車相乗り)
- zigair(ジェット機相乗り)
相乗りシェアは、オーナーが利用している同じタイミング、他の借り手が一緒に利用するシェアです。
4のレンタルシェアと似ていますが、こちらは同じタイミングで利用する特徴があります。本来はオーナー一人で利用する事が常識と考えられている分野に、別の利用者を相乗りさせることによって、コストゼロで価値を2倍、3倍にするシェアになります。
airbnbのルームシェア、uberなど近年台頭してきているシェアのタイプになります。この相乗りシェアの特徴は、オーナーと借り手が一緒に時間を過ごす事です。この事でオーナーと借り手がリアルに仲良くなり、新しいコミュニティが発生します。このコミュニティこそが、相乗りシェアの価値の一翼を担っています。
ただ相乗りシェアの主要市場である「車」「宿泊」については、国によっては規制の対象となっていることが多く、違法である場合もあります。日本においては、このいずれも許可を取得する必要があり、無許可の場合は違法となってしまいますので注意が必要です。
6:人シェア(Human Share)
- Care.com(ベビーシッター)
- クラウドワークス(フリーランサー)
- Lancers(フリーランサー)
- KitchHike(料理する人)
これはシェアという表現が適切ではないと思いますが、よくシェア型サービスに含まれるため入れています。基本的には、働きたい人と仕事を発注したい人とのマッチングです。
フリーランサーなどプロとして働いている人の場合は、空いている時間を利用していると言えないので、単なる仕事マッチングサービスで、シェアの要素はありません。一方、素人が空いた時間を利用して何か仕事を行う場合は、シェアと言う事もできるかもしれません。
発注者は、適正価格で安定した品質の仕事を発注する事ができます。先進国では人件費が非常に高く企業の雇用リスクが高いため、このような仕組みは潜在的なニーズは大きいと思います。
企業の被雇用者だけでない、働き方の新しい形を提案しています。
まとめ
シェアと言っても色々なタイプがある事が分かっていただけたでしょうか。
6つに分類したシェアのうち、スタートアップ界隈で注目を浴びているのは、下記の3つではないでしょうか。
4:レンタルシェア(Rent Share)
5:相乗りシェア(Ride Together Share)
6:人シェア(Human Share)
世界的には5の注目度が非常に高いのですが、日本では法律、規制の問題があり実現には壁がある状況です。
ただ、1の中にもmosaicという非常に面白い新しいサービスが有るので、意外なところに新しいアイデアが眠っているかもしれません。
最後に宣伝をしますと、私が進めているモノシーというプロジェクトは、狙ったわけではないですが4,5,6を対象にしています。気が向いたら、ぜひ立ち寄ってください。
shareはシェアと読みます。シャレではありません。